経済産業省では、高齢運転者等による交通事故対策の一環として、自動ブレーキなどの先進安全技術を備えた車「安全運転サポート車の普及啓発に取り組んでいますが、トヨタ自動車は、8月28日に「2018年度までに、アクセルとブレーキの踏み間違えなどを防ぐ安全装備を9割の車種に設定する」と発表しました。

そこで、日本自動車ユーザー研究所(JACRI)では、以下の3点を明らかにすることを目的として、調査を実施いたしました。

  1. 一般の自動車ユーザーのうち、どれくらいの人がアクセルとブレーキを踏み間違えたことがあるのか
  2. アクセルとブレーキを踏み間違えた場合に加速を抑制して事故を防ぐ「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」について、どの程度関心を有しているのか
  3. 「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」を付ける場合、どの程度の費用であれば許容されるのか

現実?幻想? 年代が高くなるほどクルマの運転に自信を持っているドライバーが多くなる

今回の調査の回答者が自分の運転技術に対してどの程度自信を持っているのかを、性別、年代別に比較したのが以下のグラフです。
 

Q. あなたは、クルマの運転にどの程度自信がありますか。(1つだけ選択)

あくまで自己申告ではありますが、性別では男性、年代別では免許保有歴や運転歴が長いと思われる高齢者層の方がクルマの運転に自信を持っており、70代では6割が「自信がある」「まあ自信がある」と回答しています。
 

20代以下では、3割以上がアクセルとブレーキの踏み間違いを経験

それでは、過去にアクセルとブレーキのペダルを踏み間違えたことがあるかどうかを質問してみました。
 

Q. あなたは、普段運転しているクルマでアクセルとブレーキのペダルを踏み間違えたことはありますか。(1つだけ選択)

「ある(交通事故になった)」は各年代とも5%にも満たないレベルですが、20代以下で3割、30代、40代で2割程度、50代、60代、70代で1割程度が「ある(交通事故には至らなかった)」と回答しており、ペダル踏み間違いによる事故の潜在性の高さが窺えます。

昨今ニュースで大々的に取り上げられているのは、高齢者による踏み間違いの事故ですが、むしろ若い層ほど踏み間違い経験があり、一歩間違えば20代以下の若者でも大きな事故を起こす可能性がある点には、留意する必要がありそうです。
 

Q. あなたがアクセルとブレーキのペダルを踏み間違えた時の状況をお教えください。
複数回ある場合は、当てはまるものすべてについて状況をお教えください。(いくつでも選択)

実際にアクセルとブレーキのペダルを踏み間違えた時の状況については、“発進時に急に何かが飛び出してきた”、“発進時に急にバックした”、“バック時に急に前に発進した”等、想定外のことが起こって踏み間違えている他、単純な踏み間違いも少なくないようです。
 

70代は、運転に自信があっても「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」への関心は高い

「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」が装備された車の存在について質問したところ、「詳しく知っている」「知っている」と回答したのは、概ね4~6割程度ですが、20代以下と70代は他の年代に比べてその比率がやや高くなっています。また、「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」に対する関心も、20代以下と70代で高くなっています。
 

Q. あなたは、アクセルとブレーキを踏み間違えた場合、加速を抑制して事故を防ぐ「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」が装備された車があることをご存知ですか。(1つだけ選択)

 

Q. あなたは、アクセルとブレーキを踏み間違えた場合、加速を抑制して事故を防ぐ「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」について、どの程度関心がありますか。(1つだけ選択)

先に見たように、70代は他の年代に比べてクルマの運転に「自信がある」「まあ自信がある」と回答しているドライバーが多いにもかかわらず、8割が当該装置に関心を有しており、ペダル踏み間違えによる事故を未然に防ぎたいという意識が非常に高いことが分かります。
 

許容できる費用は10,000円

では、「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」がいくらであれば、ドライバーが実際に利用したいと思うのでしょうか。
 

Q. アクセルとブレーキを踏み間違えた場合、加速を抑制して事故を防ぐ「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」について、あなたはどれくらいの金額であれば利用したいと思いますか。(1つだけ選択)

年代が高くなるほど金額の許容性も高くはなりますが、それでも20,000円を超えると利用意向者は2~3割程度となってしまいます。
 

トヨタ自動車によれば、「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」を装備した場合、装備していない場合に比べて事故発生率は、7割減少するとのことですので、ドライバーの6割程度が利用したいと思う10,000円程度以下で装備できるようになることが求められそうです。
 

調査の概要

調査手法
調査パネルを使用したWebアンケート調査
調査対象
自分が運転する車を保有している18歳~79歳の男女
調査対象地域
全国
回収サンプル数
合計1,200サンプル
調査実施時期
2017年9月上旬
集計結果に関する
留意事項
本調査は年代別の比較を主目的としたため、ウエイトバックはしていない

この記事の詳細につきましては、日本自動車ユーザー研究所までお問い合わせください。

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